デザイナーと中小企業の関係性

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昨今、中小企業の技術とデザイナーのデザイン力で業界に活性化を!なんてことをよくやっていますが、多くの場合なんだか微妙な結果に終わっていると思います。

最終的なゴールがおそらくデザイナーと中小企業とで違うんじゃないかと思うんですよね。

中小企業がデザイナーとよい関係性を結ぶためにはどうすればいいのか、個人的な見解をまとめてみたと思います。

業界の問題点を洗いざらい伝える

これはいちばん重要な音なんですが、いいことだけを話していてはデザイナーの仕事として務まらないもので、根本にある問題まで含めて話し合うことで、解決の糸口を探り、それをきっかけに出発点を探ります。

問題の根っこがわかっていないのに、表面上の問題だけを解決しようとしても必ずほころびが生じますし、対策できる内容についても限界がありますからね。

もちろん、人材的・経済的な問題もありなかなかできないということもあるかと思いますが、そういったことも含めて恥ずかしがらずに、なんなら決算書まで見せてしまうほどの勢いで話し合われるのも必要ではないでしょうか。

デザイナーは泳ぎ方を教えるのではなく、水と親しむことを教える

これはデザイナー側の問題ですが、とにかくいきなり高度なクロール泳法について語りたがったりします。

しかしそれまで泳ぐことなんて考えてもいなかった人たちにいきなりくろーるの技術にて語ってもチンプンカンプンですから、まずは水は怖くない、こうすれば簡単に浮かべますよといったところから始めるべきです。

これは色んな意見があるかと思いますが、企画が始まった時点でいきなり年商いくら、3年でいくら、5年でいくらのような経営計画の・ようなものは必要ないと僕は思っています。

当然初年度の予算としてどのぐらい必要になるのか、それに対してどこまで遂行するだけの予算を捻出できるのか、そこは腹をまって話し合う必要があります。

水に浮かばなければ浮き輪という助成制度だってあるわけですから。

まずはできるところから始めて見る

とにかく成果を出すための大きなプロジェクトをいきなり始めるのではなく、まずは小さな予算でも可能なパッケージの見直しや、ロゴのデザイン、ホームページ、ブログの立ち上げといったところからでもいいとおもいます。

以前からお話しているように、僕自身、ブログはブランドづくりの要だと考えているので、中小企業の皆さまが新しく何かを始めるのであれば、必ずブログも一緒に始めてもらいたいと考えています。

それは会議が密室で行われているのではなく、ブログというメディアを通して一般に公開されること、そうすることで同じような考えを持った別の団体や中小企業との協働という可能性だって考えられるようになるからです。

1つの団体では難しいことであっても、複数の団体が互いに得意な所を持ち寄ることができれば、それぞれリスクは小さく、効果は大きくすることができるのではないでしょうか。

互いに信頼する

やはりどうしても相性というのはありますし、それは仕方がないことだと思います。

互いにとってプラスにならないと考えるのであればプロジェクトの見直し、またはデザイナーの入れ替えを申し出ても僕はいいと思います。

重要なのは互いの信頼関係の上で成り立っているプロジェクトが上手く遂行されているということであって、形式だけ進めることではありません。

ただし、互いのわがまま言い放題でお互い融通がきかないと泥の投げ合いばかりするようであれば、デザイナーにも問題はあると思いますが、中小企業側にもかんげを改めていただかなくてはいけないのかもしれません。

対価はきちんと払う

これはデザイナー側の意見ですが、たまに勘違いされておられる方もいて大変困ってしまいます。

「俺達はお金を生んでないのに、なんでお前にお金払わなあかんのや。売れるまで面倒みろよ、そしたら払うわ。」って話です。

デザイナーはボランティアではないので、自分の時間をお客さまのために削って売っているわけですから、それに対して価値が無いと仰るお客さまは申し訳ありませんがプロジェクトの途中であってもこちらから辞退させてもらうこともあります。

そのためにどのようにして売っていくのか、といった販売計画まで落とし込むわけなので、それが実行されてもいない段階からこのような言葉を投げられてしまうとゲンナリしてしまいます。

残念なことにこういったことが極稀にあるのは、大変心苦しい思いがします。

まとめ

現在の中小企業の皆さんにはまだ何かデザイナーと言った職業に対して偏見を思っておられる方も少なくはないと思います。

  • 高い
  • 話している意味がわからない
  • 話を聞いてくれない
  • なにも変わらない

といったように。

もちろん一部のデザイナーには上記に該当するような方もおられると思いますが、多くの場合常にどうすればお客さんの課題を解決できるだろうか、というところに心血を注いでいるはずです。

そういった中でどうしてもきつい言葉を投げてしまうことや、専門的なことをいってしまうこともありますが、わからないことがあればどんどん意見してもらえたらいいと思います。

これからの中小企業はデザイナーと協働して、自社の技術力だけではなくブランドづくりまで一貫して行うべきだと思います。

それがこれからの日本のものづくりを支える礎にもなるのではないでしょうか。