課題を解決するには一度分解し、組み直す。それがデザインという仕事〜デザイナーの仕事について〜

おすすめの記事

n112_cubeijiru_tp_v今日はデザイナーのお仕事について少しまとめたいと思います。

ここに書いてあることは私見なので「おいおいそうじゃないだろ」と思う人もいるかもしれませんが、お手柔らかに。

世の中の多くはデザインという仕事を誤解している

「なんの仕事されてますか?」という話題で「デザイナーです。」と答えると、多くの場合はファッション、グラフィック、最近だとウェブデザイナーなんかのイメージがあるみたいで、デザイナー=きれいなレイアウトを作る人というふうに思われがちです。
間違いではないのですが、レイアウトは最終的には手段の1つでそれが目的ではありません。

デザイナーの仕事をざっくりと説明すると、多くの場合「課題の本質を探り、解決する手段を考え、実行する」といえると思います。
「そんなことうちの会社でわしでもやってるで」と仰る方がいると思いますが、解決できているのであればそれでいいと思います。
ただ解決できないことが多すぎて、デザイナーと呼ばれる人に解決を依頼することになるんだと思いますけどね。

どうやって解決していくのか

数年前から言われるのは「デザイン思考」とよばれるものですが、これはデザイナーが使っている問題解決の方法を、一般的に広く使えるように体型建ててまとめたものですが、これが決定版というのはないように思います。

このデザイン思考、あくまでも僕の場合ですが、

  1. 一歩引いて考える
  2. まずは動かして考える
  3. 理想とされる動きや状態を考えてみる
  4. 批判を恐れず口に出し提案する
  5. こうじゃなきゃいけない、という固定概念を捨ててみる
  6. 「そもそも」という言葉からはじまる疑問、質問
  7. 常に考える

まぁ、考えてばかりですが、考える中でいろんな組み合わせを考え、それが新しいアイデアやイノベーションにつながって、多くのお客さんに新しい体験をお届け出来るようになります。
僕が尊敬するクリエイターに宮本茂さんがいますが、宮本さんの言葉にこんなものがあります。

「アイデアというのはなにか?」

という問いに対して

「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」

出展:HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN – 1101.com
というものです。

24時間365日、頭のなかで何かを考え続けるのは大変なようですが、それが習慣になってしまえば息を吸って吐くようなもんです。
この考える習慣というのが非常に重要で、目の前にある事実を問題として捉え、解決するためのドアを様々な方向から探りを入れていくわけです。
デザイナーと話していると突拍子もない話をふられて面食らうことも多いかもしれませんが、多くの場合それは意味のない質問ではなく、解決の方法を探っているのだと理解してください。

例えばどんなことがあるのか

多くの方が解決する方法として、目の前の問題をとにかく解決することに注力すると思いますが、一歩引いて考えてみると原因は他のところにある場合がほとんどです。
そのため、今目の前の課題を直接解決する方法ではないけども、長期的に見てこっちの課題を解決するほうがかならず全体の問題を解決できるということであればそちらを提案します。

ただ、最近の企業やネットショップにおいて、課題の多くは人間関係や仕事場の環境問題だったりすることが多いような気はします。
結局オーナーの思い込みであったり、自分の仕事だけで手一杯だったり。
そこまで行った時に、それを突っ込める間柄であればいいのですが、そうじゃない場合、どうやって担当の方をフォローするかという、環境が変わらないのであれば担当者のできることを変えてしまう、という発想になるんですね。
オーナーが闇雲に売れない商品を売ろうとしている時、それを否定すると元も子もありませんから、それ以外の興味を持ちそうな内容を提案し興味の対象を増やしてしまう。
そちらで売上が出てくるようになればオーナーの考えは変わります。
ネットショップが検索の対象として、月間の平均検索ボリュームが非常に少ない場合は、ネットショップそのものではなく、ブログやSNSを更新することで、誘導するための道筋を増やす方向で考えるほうがベストです。
検索ボリュームが二桁程度しかないのに、SEO対策しても徒労に終わりますからね。

ここまでくればデザイナーがただレイアウトするだけの人ではない、ということを理解してもらえると思います。

最後に

100%の方法なんてありません。
多くの場合、少なくとも60%、多くても70〜80%程度の成功率で考えて、動かすようにしています。
動かすことで表面に見えていなかった問題が浮かび上がるんですが、そのときにガチガチに固めてしまう方法だと動けなくなってしまいます。

だから、というわけではありませんが、僕の場合はあまり数字を重要視していません。
課題解決のための参考にはしますが、よくわからないよその数字を持ちだしてきたり、根拠の無い数字を並べることに対しては否定的です。
自信がないから人は饒舌になり、数字で語りたがるし、やたらとフレームワークを使いたがる。
評価の基準を外部からのものさしで図ろうとするわけですけど、それを振りかざしてドヤ顔されるのは大変困ってしまいます。

僕の場合は具体的な数字ではなく理想とされるイメージや概念を語り、ふわっとしたところから話を始めて、最終的にはなぜそれが必要になるのかというところまで落としこんで説明します。
そうやって話している過程でいろんな問題が出てくるんですが、そこが目的なんですね。
普通に話し合っているだけでは表面化されてこない、もっと奥の方にある問題が浮かび上がってきます。
数字だけで語っているとなかなか出てこない場所なんですけど、こういった課題が浮き出てきた時は「やった!」と思います。

お客さんの課題を解決することがデザイナーの喜びだと思いますが、毎回難問のパズルを解いているようなもんなので、これからもどんどん解いていきたいと思います。